2017年12月31日 (日)

大阪市への子どもの貧困対策を求める陳情書の教育子ども委員会における審議報告

12月6日に、大阪市教育子ども委員会において、11/24に18団体と48名の賛同を得て提出した、「『大阪市子どもの生活に関する実態調査報告書』を重視した子どもの貧困対策の実現を求める陳情書」が審議されました。私たちは公明、自民、維新、共産に協力を依頼し、委員会では公明、共産が私たちの陳情書を取り上げ、以下のようなやりとりがありました。共産党が陳情書の採択を求めましたが、他が引き続き審議を求めた結果、継続審議となりました。私たちは今後も引き続き、大阪市に対して[報告書」が明らかにした「必要な支援が必要とする子ども・家庭に確実に届く」施策を要求していきたいと思います。

1)公明則清議員はSSWについて、全区に専任一人を常勤で採用することを要求して発言しました。
「教員が子ども・家庭に福祉的支援が必要と気づいたときに行政の適切な支援につなぐのにSSWが必要。申請主義からアウトリーチに転換するのにSSWの役割が大きい」とした上で、①少なくとも全24区にひとりのSSWを区の専任として配置することが必要、②身分が不安定な非常勤ではなく、常勤採用とすることが必要として、SSWの人材確保と処遇改善を要求した。これに対し、市教委は「拠点となる中学校に1日6時間、週3日で市が10名、7区が7名計17名のSSWが活動している。SSWを平成28年、29年と各二人増員しており、全24区をカバーできるよう国の基準に合った22名の人材確保に努めている」とし、各中学校区にSSW1名を確保するという国の目標からすれば、大阪市は128校区に128名のSSWが必要であるのに対し、1人のSSWが6中学校区を掛け持ちすることで22名が国の基準に合っていると強弁しました。

2)共産党井上議員は子どもの生活実態調査を受けて、どのような課題を認識し、どのような貧困対策を遂行していくのか聞きたい」との問うたうえで、特に就学援助に対し捕捉率を上げる施策を要求しました。
 これに対し大阪市の回答は、「『報告書』により一人親世帯や若年出産世帯など貧困に陥るリスクが高いことが確認された。平成30年度から本格的な子どもの貧困対策に取り組むため貧困対策推進本部で検討しており、支援を必要とする世帯に必要な支援を行なっていきたい」との具体策にかけるものでした。井上議員は、市はこれまで、非課税世帯の保育料を徴収し始め、一人親世帯の上下水道料金の減免をなくし、出産一時金を引き下げてきたではないかと、市のこれまでの施策が「貧困対策に照らしてどうだったのか検証」することを要求し、市が行なってきた新自由主義的な施策を批判しました。
 その上で、特に就学援助を取り上げ、就学援助の所得基準が低いことが就学援助を受けにくくしているとし、市は就学援助の捕捉率を上げるためにどのような施策を考えているのかとの質問しました。市は[就学援助率は平成18年度の38.1%から平成28年度の25.7%に下がっているが、依然として全国や政令市の平均を大きく上回っている」と居直る始末。これに対し、「10年で8%(12.4%?)も下がっていることが問題、全国の平均を大きく上回っていることはそれだけ貧困状態が深刻だと言うことの現れだ」として、「必要としている子どもが就学援助を得られるような制度改善」を求めました。

「大阪市子どもの生活に関する実態調査報告書」を重視した子どもの貧困対策の実現を求める陳情書

【陳情趣旨】

 昨年の夏、大阪市は小学校5年、中学校2年、5歳児のいる約5万6000世帯を対象とした大規模な「子どもの貧困調査」を実施し、76.8%の高い回答率を得ています。そこでは、年収200万円以下の世帯は、小5・中2世帯で10.3%、5歳児以下世帯8.3%にのぼり、全国平均の約1.5倍となっていることが分かりました。そして、家庭の貧困が子どもの生活に直結している実態も明らかになりました。
 今年の春には、大阪府立大学山野研究室が大阪市から委託を受けて調査結果の分析を行い、「大阪市子どもの生活に関する実態調査報告書」(以下、「報告書」)を公表しました。「報告書」は、大阪市に対して子どもの貧困の深刻さを受け止め、以下のような重要な指摘を行っています。 
  ①生活保護制度や就学援助制度、児童扶養手当、児童手当が必要な対象世帯に届いていない ことが明らかとなりました。「報告書」は、これらの制度の捕捉率を上げるための施策を求 めました。
  ②10代で出産した親やひとり親世帯ほど生活実態が厳しいことも明らかになりました。「報 告書」は、これらの世帯を「優先して支援すべきグループ」として、若年出産者に対する経 済的支援、保育所への優先的入所支援、就労支援などを一体的に実施する必要性を指摘し ました。また、母子世帯の非正規雇用の割合が高いことから、ひとり親世帯の雇用や正規 雇用化に向けた取り組みの検討も指摘しています。
  ③「報告書」は、貧困な世帯の医療費負担を軽減するため、子ども医療費助成制度の拡充や国 民健康保険料及び利用者負担の減免の拡充を求めました。児童扶養手当など現金給付の水 準の引き上げを国に働きかけることも求めました。
  ④「報告書」は、世帯の貧困によって保護者の不安やイライラが募り、それが子どもたちの心 理的・精神的症状につながっていることを明らかにしました。これらの実態に対して、「報 告書」は「セーフティネットとして誰もが通う学校」での支援の展開を指摘し、「チーム学 校の機能」を強めていくことを提言しました。その際、「キーになる人材」としてスクールソ ーシャルワーカーの存在の重要性も指摘しました。
  ⑤今後の課題として「複数年かけて初年度同様様々な角度から全体像をつかむ、次年度更に 分析を進めて構造を明らかにする方法」や「当事者の声を直接聴く取り組み」など、継続 した実態調査を提起しています。

 大阪市は、「報告書」が出てから「こどもの貧困対策推進本部会議」を二度開催していますが、「報告書」が求めた具体的な施策に応えるものとはなっていません。生活保護など社会保障制度を必要としている人に「確実に届ける」ための施策やひとり親世帯への支援策については、「地域や学校で支援を要する世帯を発見し、適切な支援につなぐ仕組みが機能するように取り組む」(「大阪市子どもの生活に関する実態調査報告書を踏まえた課題と対応の方向性について」(2017年5月12日))と指摘するのみで、そのために何が必要なのか具体策を示していません。若年出産の世帯の生活の困難さについては、学校での「性に関する正しい知識の普及」「乳児に触れ合う機会や母親の体験談を聞く機会の拡充」(同上)の強調、貧困な世帯の子どもたちの心身の困難さについては、学校での健康教育や「規範意識・社会性の育成など家庭教育」(同上)の重要性を強調しています。必要な経済的な支援や親の正職化を進める就労支援、社会保障の充実等を抜きにしたこれらの方向性は、貧困な世帯の自己責任論を増幅させる危険性があります。大阪市教委にいたっては、NPOなどの実施する「こどもの居場所づくり」の支援として、教員採用試験を受ける学生に「こども食堂」等でのボランティア経験を「加点」するとしただけでした。
 8月7日、私たちは、大阪市に対して「大阪市子どもの生活に関する実態調査報告書」を踏まえた質問書を提出しました。「報告書」がこれまでの施策の不十分さを指摘しているにもかかわらず、大阪市の回答は多くの項目で「検討中」としたり、従来の施策の継続を説明したりするもので、新たな取り組みを示すものとはなっていませんでした。

 大阪府の子どもの貧困は、全国で2番目の深刻さです。大阪市は、大阪府内でも最も厳しい状況にあります。大阪市の「子どもの貧困調査」は、憲法に保障された子どもの「教育への権利」や生存権そのものにかかわる深刻さを持っていることを示しました。まさに大阪市の子どもの貧困対策は待ったなしの状態です。しかし、「報告書」が重要な指摘をしているにもかかわらず、大阪市はそれを重視した対策を検討しているとは思えません。市民が声を上げ、行政に具体的な施策を求めていくことが極めて重要になっています。私たちは、「報告書」が指摘した課題の中でも、緊急性の高い以下の5項目について早急に対策をとることを求めます。

【陳情項目】

1.困窮度の高い世帯の生活保護制度、就学援助制度、児童手当の捕捉率を上げる具体的な施策をとってください。

2.ひとり親世帯のための児童扶養手当の捕捉率を高める施策をとってください。養育費の受給率を高める施策をとってください。

3.若年出産世帯のニーズを把握し、きめ細かな経済的支援と就労支援を具体化してください。保育所への優先的入所を保障する施策を早急に具体化してください。

4.「チーム学校」の「キーになる人材」であるスクールソーシャルワーカーを全中学校区に常勤配置してください。そのために、スクールソーシャルワーカーの養成を支援し、待遇の改善を進めてください。

5.大阪市の子どもの貧困の構造を明らかにするために、複数年かけて実態調査を行ってください。その際、当事者の声を直接聴く取り組みも進めてください。

11月29日、大阪市との「子どもの貧困対策」に関する「協議」に関する再質問書

吉村洋文大阪市長様
大阪市子ども貧困対策推進本部 御中
子ども青少年局御中

     11月29日、大阪市との「子どもの貧困対策」に関する「協議」に関する再質問書

                                                                  2017年12月5日
                                                                               
                           子どもに『教育への権利』を大阪教育研究会
  
 11月29日、「子どもに『教育への権利を!』大阪教育研究会(以下「教育研」)は、「子どもの貧困対策」を求めて大阪市と「協議」を行ないました。
 大阪市は12月半ばに「子どもの貧困対策推進本部」会議を開き、来年度以降「本格実施」を開始するための施策を決定し、来年度予算に組み込む予定と聞いております。大阪市との「協議」は、その決定の前に、「支援を確実に届ける」施策を求めて行なったものです。
  今回、「協議」において納得行ける回答がいただけなかった以下の点について再質問させていただきます。お忙しいとは思いますが、12月31日までに回答をお願いします。
 

【1】就学援助について

 「協議」では、先ず、「必要な支援が必要とする子ども・家庭に届いていない」原因を明らかにするようもとめておこないました。困窮度Ⅰの世帯は全員が援助対象であるにもかかわらず、就学援助捕捉率が64.4%と低く、1/3以上が受けていないことにに関して、教育委員会側から納得の行ける回答が得られなかったので、以下の点について再質問します。

1)その原因は何か、その深刻な状況を教育委員会はどう認識してているのか。
  協議では、 「原因の特定難しい」との答弁でした。これに対し、「低いという認識がないのではないか」「認識が一致しないと次の対応策についての議論に入れない」の反論いたいし、「検証できていない」ので分からないとの答弁であった。改めて、①困窮度Ⅰの世帯の就学援助率の低い原因をどう考えるのか、②この深刻な事態をどう認識しているのかお聞きしたい。

2)就学援助の現行施策の問題点はなにか。申請率を高め、捕捉率を高めるためにどのような施策を考えているのかとの質問に対しても、教育委員会の答弁は、従来の「学校で対応」でを繰り返すのみでした。「『報告書』で従来のやり方ではだめだと言われているではないか」、「教育委員会としての方針がない、どんな指導をしているのか、学校任せになっているのではないか」と市教委の姿勢そのものが問われました。これに対しては、「自分の担当ではない」、「各学校は『指導部』が指導し、担任、管理職が個別に対応している」と他人事のような答弁でした。
 就学援助率を高めるために、①「申請しない世帯も含め、配布した申請書を全世帯から回収すれば周知が徹底するではないか」、②「前年度受給しているのに今年度は未申請の世帯や、学校徴収金・給食費の未納が続く世帯、不登校生をリストアップして把握して、申請するよう働きかけるべきではないか」との要求に対しては、「指摘は指摘として受け止め、今後議題を整理して進めていく」との答弁で、具体策は出されませんでした。
①②について、学校でのスクリーニングと学校と福祉行政、家庭とをつなぐSSWの役割を含め具体的な「確実に届ける」施策を打ち出していただきたい。

3)「2013年度からの生活保護基準の引き下げで大阪市はそのまま就学援助基準を引き下げたことにより、就学援助を受けられなくられなくなった子どもが出ている。人数を把握し、フォロウしているのか、その結果救済された子どもはいるのか」との質問に、2014年度から2年間で5000人受給者が減ったが、結果的に対応できなかったとの答弁でした。
 さらに、来年度大阪市は生活保護の『等級』が下げられると聞いているが、生活保護との基準比が1.0のままであれば、更に就学援助を受けられなくなる子どもが出てくる。どうするのか」との追及には、「『級地』が下がったら、規則通りになる」と就学援助受給率が下がるのはやむを得ないというような発言でした。基準比を全国標準の1.3に上げるなど更に就学援助が受けられなくなる子どもが出ないように対応をとることを求めます。

【2】「必要な支援を、必要とする子ども・家庭に確実に届ける仕組み」について

 子ども青少年局からから「来年度に向け、学校と福祉をつなぐ仕組みを考えていきたい。申請主義の限界をカバーできないか考えたい。具体はまだいえないが、12月に出したい」との答弁がありました。これに対し、「学校と福祉行政、家庭をつなぐ仕組み作りのキーとなるSWS(スクールソーシャルワーカー)が地域できちんと対応するには各中学校区に常勤1人が必要。国は全国1万中学校区にSSWを1万人配置方針であり、大阪市は128人必要。市の目標22人では少なすぎ、対応できない」との指摘に、「1中学校週3時間」、「22人の人材確保にも苦しんでいる。1人で6中学校を担当、これが文科省の基準」との答弁でした。1中学校区週3時間の非常勤で低賃金の過酷な条件ではSSWを確保できるはずがありません。
 2017年1月に出された文科省の「教育相談に関する調査・研究者会議」報告では、次のように述べています。「SSWは生活圏と同程度の中学校区を単位とした学校や教育委員会に配置し、同校区内の学校を担当することが適切である。まず、単独校又は拠点校、教育委員会に常勤のSSWを配置する。最終的に全ての中学校区、及び教育委員会に常勤のSSWを配置し、校区内の全ての必要な学校などの担当とすることをめざすことが望ましい」。 私たちは大阪市が全ての中学校区に常勤のSSWを配置し校区内の全ての必要な学校を担当することにより、「必要な支援を確実に届ける」施策のキーとなるよう求めます。

子どもの貧困対策を求める大阪市との交渉(2017.11.29)

 大阪市は12月半ばに「子どもの貧困対策推進本部」会議を開き、来年度以降「本格実施」を開始するための施策を決定し、来年度予算に組み込むことになっています。「協議」は、その決定の前に、私たちの「要求」を突きつけて交渉したものです。

①交渉では、まず、最も困窮度の高い「相対的貧困」世帯(困窮度1群)でさえ就学援助、生活保護、児童扶養手当など社会保障制度の捕捉率が低く、全員が支給対象である児童手当でさえ7%が支給されていない実態をどう認識し、原因をどう捉えているのか、捕捉率を高めるためにどのような施策を考えているのかについて追及しました。市側は低いという認識そのものがなく、原因を「周知漏れ」に加え、「手続きが面倒で申請しない」人がいると責任転嫁する始末。
 就学援助率を高めるために、「前年度受給しているのに今年度は未申請の世帯や、学校徴収金・給食費の未納が続く世帯、不登校生をリストアップして把握して、申請するよう働きかけるべきではないか」との要求に対しては、「指摘は指摘として受け止め、今後議題を整理して進めていく」との官僚的答弁で約束を回避。2013年度からの生活保護基準の引き下げで大阪市は2年間で5000人受給者が減ったこと、その子どもたちへの対応ができなかったことを認めたにもかかわらず、「来年度生活保護基準が引き下げられれば、更に就学援助を受けられなくなる子どもが出てくる、基準比を1.0から全国標準の1.3に上げるべきではないか」との追及には、「規則通りになる」と居直るしまつです。これらについて改めて再質問することを確認しました。

②「報告書」が「優先して支援すべきグループ」として、特に10代で出産した親や1人親世帯をあげ、市に対し「重点支援策」をとることを求めていることに対しては、「若年出産者対象の施策より、高校中退防止策が必要」と若年出産者への優先支援を否定、参加者からは「支援が必要とする『報告書』と考え方が違っているではないか」と批判。
一人親世帯支援については、「離婚届を出すときに申請書を配布し周知している」と申請しないものが悪いかのような回答。この大阪市の「申請主義」に対し、参加者から「ワーキングプアで忙しすぎるひと、軽度の知的障害で申請書を出せない人がいる。サポート策を考えてほしい」との声が出された。大阪市が「支援」ではなく、「自立」や「防止」を主張し、「報告」とは「真逆」な施策を考えていることが明らかになった。

③,「必要な支援を、必要とする子ども・家庭に確実に届ける仕組み」に関し、市から「来年度に向け、学校と福祉をつなぐ仕組みを考えていきたい。12月に出したい」との答弁がありました。これに対し、「学校と福祉行政、家庭をつなぐ仕組み作りのキーとなるSWS(スクールソーシャルワーカー)が地域できちんと対応するには各中学校区に常勤1人が必要。国は全国1万中学校区にSSWを1万人配置方針であり、大阪市は128人必要。市の目標22人では少なすぎ、対応できない」との指摘に、「22人の人材確保にも苦しんでいる。1人で6中学校を担当、これが文科省の基準」と考えを譲らない。1中学校区週3時間の非常勤で低賃金の過酷な条件ではSSWを確保できるはずがありません。

2016年9月26日 (月)

11月23日 生田武志さん講演会を開きます

深刻化する大阪の子どもの貧困
大阪の「子どもの貧困調査」を受けて今何が必要か考えよう!

11月23日 講演 生田武志さん
「子どもの貧困の現場から見えてくるもの」
報告 大阪府・市の「子どもの貧困調査」

参加費:800円
日時11月23日(水・祝日)14:00~16:30 (開場13:30)
(あべのベルタ3階) 場所阿倍野市民学習センター講堂
地下鉄谷町線「阿倍野」駅7出口、または地下鉄・JR「天王寺」駅前駅出口2出口から

 2012年の日本の子どもの相対的貧困率は16.3%となり、6人に一人の子どもが貧困下に育っているというきわめて深刻な状況にあります。それ以降も子どもの貧困の基礎にある「ワーキングプア」の拡大などによって事態はもっと深刻化しています。安倍政権は年に「子どもの2013OECD 貧困対策の推進に関する法律」を制定しましたが、国が教育にかける公的資質の割合は、加盟国の中で日本は比で最低であり、子どもの貧困対策もほとんど進んでいません。政府のGDP「子どもの貧困対策に関する大綱」は既存の事業の寄せ集めになっており、とりわけ教育分野では子どもの「学力向上」策に特化しています。つまり、貧困な子どもたちは、自ら「学力」をつけ、「貧困の連鎖」を断ち切れ、というわけです。それができなければ「自己責任」として切り捨てるものです。

 貧困率の高い大阪府で、この夏、大規模な「子どもの貧困調査」が行われました。中でも大阪市は、小学校5年と中学校2年の子ども約4万人と約6万人の保護者を対象にし、9月末にも集計の速報値を公表し、貧困対策を来年度予算化する予定です。しかし、9月15日に吉村大阪市長は子どもの貧困調査を塾助成の拡大に利用する方向性を強く打ち出しました。塾助成で子どもの貧困は削減されません。

 大阪市の子どもの貧困はきわめて深刻です。私たちは、大阪府・市での「子どもの貧困」調査結果を検討し、貧困を削減していくためには何が必要なのか、大阪市の貧困対策はどうなっているのか、考えていきたいと思っています。是非、一緒に考えていきましょう。

 子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会

生田武志さん 野宿者ネットワーク代表、ホームレス問題の授業づくり全国ネット
代表理事。著書に「貧困を考えよう」(岩波ジュニア新書)など多数

2016年9月25日 (日)

9月11日 大阪教育研カフェ これでいいの!橋下維新の教育改革の8年 報告

 9月11日の教育研カフェには30人近くの参加がありました。ありがとうございます。
 今回のカフェは「ザ・ドキュメント 子どもが笑う大阪~大阪教育改革8年」というテレビのビデオを見ながら、その中で取り上げられたいくつかの問題を参加者で議論するかたちで進められました。それを通じて維新の教育改革の8年が大阪の教育をいかに破壊してきたか、実態から迫ろうというものです。
 最初に取り上げられたのは、全国学テの結果公表、内申書への反映が何をもたらしたかという問題です。番組の中で紹介された障がいを持つ子どもの親が「うちの子、欠席させましょうか」と行ってきたという事実に参加者は強いショックを受けました。自身が障がい者である北口昌弘さん(高校問題を考える大阪連絡会事務次長)からは、さらに「知的障がいを持つ子どもが学校からチャレンジテストを受けないでくれと言われた」という報告があった。彼はチャレンジテストを各学校の成績と個人の内申に組み込むやり方は、障がいを持つものに「自分はもしかしたら(平均を下げる)迷惑な存在なのではないか」と思わせる、とても危険なものだと指摘しました。全国学テ・チャレンジテストによる競争の押しつけが、障がいを持つ人が「役に立たない人間」として差別を作り出しているのではないか、と提起した。中学校の先生からは、来年以降チャレンジテストを1・2年生ではその学年の評定を決める直接の資料にし、3年生では各学校の評定の平均を決める材料にすること(大阪市ではさらに独自統一テストを個人内申の直接の材料にする)などの説明があり、1・2年生では平常点や宿題など頑張っていても、1回のテストが悪いだけで1年間の評定が下げられることがあること、また、成績が下がることを避けるために塾などがテスト欠席を進める傾向が現れていること等、現に起こっている問題点を指摘しました。

 後半では維新の「高校改革」は何をもたらしたかが問題となりました。大阪ではグローバルリーダースハイスクール(所謂トップテン)を先頭に徹底した競争主義が押しつけられたこと、私学の無償化も公私の競争押しつけのために行われたこと等が指摘されました。競争の結果、定員割れを起こした学校、生徒があふれる学校の現状をどう考えるか。また、露骨な進学校シフトと特定の学校だけに多額の税金を投入することをどう考えるかなど問題提起がされました。
 定員割れで廃校にされる公立高校については、障がいを持つ生徒が公立高校に行きたくても自立支援コースの枠は少なく困難だ、定員割れの学校を廃校すれば、定員割れを使って入学する障がいを持つ生徒の行き場がなくなる。これ以上つぶさず、障害のある子もない子も、ともに学べる場として充実させるべきという声が上がった。

 最後に「相模原事件について」、北口さんから大阪の維新が進める教育は事件の下地になる、役に立つ人間、役に立たない人間に2極化する教育が事件を生み出している背景ではないか、障がい者を施設や支援学校に集めて見えなくする政策と現状が事件を生み出している。ともに学び、遊び、働くような社会を作らないと事件はなくならないと鋭い指摘がされた。

 今回のカフェは、学校現場で起こっているたくさんの事柄についてあれこれ検討するにとどまった感がありましたが、これらの議論を下に、さらに維新教育改革の生み出す教育破壊について明らかにしていきたいと考えています。

2016年8月25日 (木)

子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会のカフェに参加してください

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全国学力テストの学校別成績の公表!チャレンジテストの内申書への反映!

学校選択制の拡大と小中学校の統廃合!定員割れ府立高校の廃校!

これでいいの!橋下教育改革の8年

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■日時 9月11日(日) 1400~ (開場13:30)

■場所 阿倍野市民学習センター アトリエ

  地下鉄谷町線「阿倍野」駅下車、あべのベルタ3階

■参加費:300円                          

■呼びかけ

 橋下・維新の教育改革が始まって8年。橋下知事(当時)は、首長の教育権限を強める教育条例を成立させた上で教育委員を次々に入れ替え、上からの教育支配を強めてきました。その根底にあるものは、教育的なものではなく市場原理でした。大阪市では、全国学力テストの学校別成績を公表し、学校選択制の指標としてきました。小中学校は、選ばれる学校と選ばれない学校に分けられ、統廃合が急速に進み始めています。今年度、中学1年生から実施するチャレンジテストの結果を内申書に反映させるようになり、事実上、中1から高校受験が始まっています。

 高校では、学区の廃止と私学の無償化によって、学校間競争が激化しています。グローバルリーダーズハイスクールを10校指定し、予算や教育内容を他の府立高校とは差別化を図り、露骨なエリート高校を作りました。他方では、3年連続で定員割れを起こした府立高校は、廃校に追い込まれています。

 大阪の教育は、子どもたちも学校もきわめて厳しい競争にさらされています。テストの点数では評価されにくい子どもたち、障がいのある子どもたちが追い詰められていっています。このような競争と自己責任の教育によって、全ての子どもたちの「教育への権利」は保障されるのでしょうか。

 学習会では、映画『みんなの学校』の監督の最新作ドキュメントを見ながら、橋下維新の8年間の教育改革を考えていきたいと思います。ぜひ、ご参加ください。

 

 子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会

 

2016年6月17日 (金)

Cafe報告

 18歳選挙権に伴う文科省の「有権者教育」を考えよう! 教育研究会カフェ

 6月11日の教育研カフェには約30人が出席し、活発な議論が行われ盛会となりました。
 初めに、18歳選挙権を巡って文科省の進めている「政治的教養をはぐくむ教育」について、経過とその内容が報告されました。2015年10月29日文科省「高等学校における政治的教養の教育と高等学校の生徒による政治的活動等について」が出され、それに基づき大阪府教委も2016年に「政治的教養をはぐくむ教育、推進のためのガイドライン」をだしています。それは18歳で新しく選挙権を得る生徒たちに社会の様々な問題、矛盾について議論し考える場を提供することではなく、18歳選挙権に伴って高校生が政治活動に当然のように参加していくことに対して、できるだけ制約、制限をすること、指導する教職員が政府に対して政治的批判を行わないよう制約することを内容としていると批判されました。また、現場からは、生徒の中には外国籍生徒が在籍しているが彼らにどのように働きかけるのか内容が全く不明確な点も問題とされました。

 後半では、現場の高校教員から現在進められている「政治的教養をはぐくむ教育」の現状について報告を受けました。この6月までに副教材を全員に配布し、1・2年生で5時間の授業を行うことになっています。知識的な内容は地域の選挙管理委員会などを呼んで講演などを行う形になるが、政策的な内容や自分の判断を作っていく授業は、まずは校内や地域の様々な問題を自分で考えさせることから始めようとしていると報告が行われました。参加者からは現状の有権者教育のあり方や高校生の状態について様々な意見が出されました。高校生が右傾化の影響を受けていないか、メディア・インターネットの影響が大きいのでは、最大の教育は政治的活動に参加してもらうことではないのか、政治的干渉や政治的中立を考慮しないわけにはいかない、等々現状について様々な意見が出されました。議論では、「中立性」の縛り、処分によるブレーキ、現場での教育活動の難しさ、立ち後れ等による自粛傾向の危険性が問題となりました。若者の投票率を上げるだけならば、政府の世論操作とそれに迎合したメディア、右派インターネットメディアなど露出率の高い側の影響下に高校生を置くことになる。学校できちんと考えることを教えること、身近な問題、地域の問題、さらには中央政治の問題などできるだけ批判的な視野で取り上げながら高校生の政治的見識を広げ、批判力を高める試みの必要性が確認されました。

2016年5月23日 (月)

6月11日「教育研究会CAFE」のご案内・詳細!

18歳選挙権に伴う文科省の「有権者教育」を考えよう!
         高校生の政治活動はどうして規制!?
     教員の「政治的中立性」の意味するものは!?

◇日時 6月11日(土) 18:00~20:30
◇場所 エルおおさか 504号室
              地下鉄谷町線・京阪「天満橋」駅7分
◇内容 文科省の「有権者教育」のねらいは?
     大阪府立高校の現場から
◇参加費 300円
◇主催 子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会

18歳選挙権が始まろうとしている中、学校現場では高校を中心に、「政治的教養をはぐくむ教育」=「有権者教育」が強調されはじめています。文科省の進める「有権者教育」とは、どのようなものなのでしょうか。
そもそも「主権者教育」は、1970年代以降、政府の教育統制に対抗して、日本国憲法の原理を重視し、主体的に政治に関わる主権者を育てるためのもので、子どもたちの権利を中心に置いたものでした。
現在、安倍政権の進める「有権者教育」は、それらの全く対極にあるものです。文部科学省は、昨年10月、全ての高校生に副読本「私たちが拓く日本の未来」を配布し、使用するように「通知」を発しました。指導内容を厳しく統制するものとなっています。この副読本は「政治活動」を「投票行動」に狭くとらえ、生活の中での権利実現と結びつくものとはなっていません。しかも、「憲法改正のための国民投票」を強く意識した内容となっています。選挙権のない外国籍の子どもたちの立場は、全く考慮されていません。
教職員に対しては、「政治的中立性」を口実にして、安保法制や原発再稼働などへの批判的意見を取り上げることに圧力を加え、政府見解以外は取り上げさせないようにしています。
高校生には、「政治活動」を学校内で禁止し、校外でも届け出制などで規制・監視しようとしています。ここに文科省の「有権者教育」の本質が現れているのではないでしょうか。
昨年、安保法制の成立に反対して、若者たちが街頭で「民主主義って何だ!」「これだ!」とコールをしていました。その中には高校生も含まれていました。これこそが「主権者教育」そのものでなはいでしょうか。
今回のカフェでは、参議院選挙を前にして、文科省版「有権者教育」が学校現場に何をもたらそうとしているのか、じっくり考えたいと思います。是非、ご参加ください。

2016年3月18日 (金)

教育研CAFE 何のため?道徳の教科化!

教育研では、4月9日(土)に「子どもの心の支配は戦争への道か!?何のため?道徳の教科化!」をテーマに教育研CAFEを行います。ふるってご参加ください。

◆日時4月9日(土) 14:00~16:30
◆場所阿倍野市民学習センターアトリエ
地下鉄谷町線「阿倍野」下車、あべのベルタ3階
◆内容
◇文科省の進める道徳の教科化とは?
◇育鵬社の道徳教科書の検討

 安倍政権は「戦争法」と同時並行で道徳教科化を強力に推し進めました。昨年、文科省は、道徳の学習指導要領を改定し、教科書作成の基となる「学習指導要領解説書」「教科書検定基準」を作りました。そして、この4月から道徳教科書の検定が始まります。2017年4月の小学校での道徳の教科化(中学校は2018年4月)は待ったなしの状況にあります。

 道徳の教科化は戦後教育の大転換を意味します。戦争中の教育は、「修身」などの教育によって、子どもの心までも支配し戦争に導いていきました。戦後教育は、その反省から国家による教育への介入、子どもの心の支配を拒否することから始められたのです。道徳の教科化は、これまでの道徳の授業とは質的に全く違うものになります。検定教科書が使用され、厳密な指導計画が強制され、子どもたちの評価も行われることになります。しかも、指導要領では、各学年について「善悪の判断」「節度、節制」「規則の尊重」「家族愛」「「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」など22の徳目を示し、これらを「全ての児童に指導する」と規定しました。「愛国心」については、小学校1年生から教え、5・6年生では重点的に取り上げさせようとしています。

  道徳の教科化をどのように考えたら良いのでしょうか。子どもたちの心を支配することの意味は何なのでしょうか。ぜひ、教育研カフェで、一緒に考えていきましょう。

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