2019年3月 8日 (金)

教育研カフェ「象徴天皇制は教育でどう扱われているか?」報告

 カフェには40人近い参加者があり、報告の項目ごとにすべての問題で活発に質問、意見が出され熱心な討論が最後まで続きました。この問題で聞きたい、話したいとたくさんの方が集まってこられました。たいへん深刻な問題であるのに、話会う機会が減っているだけでなく、身近な人々とさえ話しにくくなっている現状を反映していたのではないでしょうか。

 まず司会者から「今年は、天皇制・代替わりのため、2月の在位30年式典に始まり、新元号の発表、退位の儀式、即位の儀式等々11月の大嘗祭と続き、市民や子ども・学校にも『天皇敬愛』と『愛国主義』が年間通じて押し付けられる。すでに224日に『各府省、各公署、学校、会社、その他一般に“国旗”掲揚を要望する閣議決定』がおろされている。今の象徴天皇制の果たす役割、問題点を再考し、これからの取り組みにそなえていくことがとりわけ重要です。」と問題提起がありました。

次に事務局から「敗戦後、天皇制存続に動いていった過程、天皇の戦争責任問題について、『日本国憲法』に書かれたように天皇の地位は根本的に変わり『主権は国民に存する(前文)』『天皇は日本国の象徴(第1条)』に過ぎないこと。『天皇は、この憲法が定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない(第4条)』こと。第7条に規定されている『国事行為』の中に、“災害地への慰問”“植樹祭等への参加”“相撲などの観覧”などは書かれていないので、これ自体は“憲法違反”であること。が、戦後歴代内閣は積極的に天皇に『政治的発言』を、各種行事への参加を、「宗教に係る行為」をもさせてきたのである。」と報告されました。

本題「教育でのあつかい」の報告骨子は以下のようなものでした。

「 教育現場で天皇・天皇制を子どもに意識させる・刷り込む要素について。

 『学習指導要領』において- 2006年『教育基本法』の全面改悪をふまえ、2008年指導要領改訂で『~~伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し~』の文言が入れられ、2017年改定ではそれを徹底させた。2017年『要領』・『小学校社会6学年の内容』では『憲法の三大基本原則』と『天皇の地位」を並列に並べている。天皇への『敬愛』という言葉も出された。

 『教科書』において- 小・中学校の教科書記述の問題は、天皇の役割に関し、『国事行為』のみでなく、いわゆる『公的行為』『象徴としての行為』を無批判に記述している。『東日本大震災被災地を訪問する天皇』の写真を多くの会社の教科書が掲載している。『憲法第7条』の『国事行為』の規定の説明を入れている教科書は皆無。 中学校社会科右派教科書では、天皇を『権威』『祭祀』の主『祭主』とまで記述している。高校教科書では天皇の地位と役割について、単純な説明があるだけである。

 今後高校の教科書への記述を増やすこと、小中学校教科書記述を一層

天皇制の容認に導くことを、謀ってくるであろう。警戒とたたかいが必要となる。 」

 

2019年3月 2日 (土)

文部科学省の「放射線副読本」批判を紹介します

 文部科学省が小学生用と中学生用の「放射線副読本」を更に改悪し、昨年の秋以降全国の学校に直接送りつけています。その内容批判を「子どもたちに未来を渡したい・大阪の会」がリーフレット(A4表・裏)にまとめました。以下に内容を紹介します。

 文科省の「放射線読本」批判(pdf版)

「子どもたちに未来を渡したい・大阪の会ニュース」2019年2月12日

「放射線副読本」批判特集

■文科省が、昨秋全国の学校に直接送り、今児童生徒への配布・活用を指示している
「放射線副読本(改訂版 昨年10月)」(小学生版と中高生版の2種類)は、
  ・福島原発事故による放射能被害はなく、周辺地域が安全であるかのように教える
  ・「避難者や避難した子どもへのいじめを無くす」どころか、いじめを助長しかねない
  ・政府の「避難指示解除・住宅支援等の打ち切り」と原発再稼働政策を進めるためのもの
 この「副読本」が子どもたち・保護者に配布されることに、反対の声をあげてください! 

■ 問題1 「副読本」は、原発事故による健康被害の現実を無視しています

「 副読本」には「福島県が平成30 年4月までに県民等に対して実施した内部被ばくによる放射線の量を測定する検査の結果によれば、検査を受けた全員が健康に影響が及ぶ数値ではなかったとされています。〈中高生版・小学生版P12〉」と書かれています。「検査を受けた全員が健康に影響が及ぶ数値ではなかった」という主張には根拠がありません。事故前、子ども100万人に1~2人といわれた甲状腺がんは、福島県の甲状腺がん調査(事故当時18歳以下)検討委員会(2018年12月27日)の発表で、悪性ないし悪性疑いの判定数が207人(対象者約38万人)になっています。加えて、2017年6月には「福島県立医科大学病院で甲状腺がん摘出手術をしたが、上記の集計漏れが他に11人いた」と発表されました。福島県外でも40人以上の小児甲状腺がん患者が確認されており、福島県外では公的な検査体制がないため、がんが進行してから治療を受ける場合が多く、症状が重篤化しています。また2011年ウクライナ政府報告書には、チェルノブイリ原発事故から25年経て、被ばく者の子どもの健康被害が深刻であることが示されています。そもそも、原発事故後、日本政府は子どもの被ばく線量の測定をしていません。事故2週間後のいわき、川俣、飯舘3市町村の子ども1080人の測定結果だけで、被ばく量が少ないと断言してきたのです。今年1月21日、事故直後双葉町で11歳だった女児の甲状腺は100mSv(国が被ばく影響を認める数値)程度の内部被ばくが推計されると報告されていたのに伏せられていたことが、報道されました。
  事故直後「トモダチ作戦」で福島沖にいた米軍艦兵士の死者は9人になり、400人が被ばくの健康被害を訴えています。福島第一原発作業員は白血病や甲状腺がんなどですでに6人が労災認定されました。「健康に影響が及ぶ数値ではなかった」という説明は虚偽であり、あまりにも無責任です。

■ 問題2 「副読本」は、事故を起こした東電や国の責任から目を背け、消費者矢放射線を不安に思う人々を”風評被害をあおる”と脅して黙らせるものです

 「副読本」には、「実際の被害ばかりでなく『 原子力発電所の事故による影響を受けたにちがいない』という根拠のない思い込みから生ずる風評によっても、農業や漁業、観光業などに大きな被害がありました。また、放射線を受けたことが原因で原子力発電所の周辺に住んでいた人が放射線を出すようになるというような間違った差別、いじめも起こりました。〈中高生版・小学生版P15〉」と書かれています。
  いじめや差別は、政府が被害者の意見を聞かず行った分断政策に原因があります。福島原発事故からこれまで、政府は広範囲に広がった放射性物質の測定もせず、狭い範囲の行政区に限って恣意的な避難指示を出し、大量の自力避難者を生み出してきました。加害者である東電が被害の有無を認定し、原発事故被害者への賠償額を決めてきました。安倍首相は「汚染水はコントロールされている」と大嘘をつき汚染水の海への放出を容認しながら、オリンピックを誘致しました。「権威」ある医師は線量の測定もせず「大丈夫だ、病は気からだ」と被ばくを我慢させてきました。副読本には「遺伝的影響を示す根拠は報告されていません(中高生版・小学生版P10)」と書いてあります。科学の知見である「放射線は遺伝子を傷つける」ことを否定しています。それを教えるのは「風評被害をあおること」にしてしまっています。国や東電が責任を持って被害者救済をせず、被害者の声を聴こうとしないことが、人々を分断し、疑心暗鬼にさせいじめや差別を生むのではないでしょうか。

■ 問題3 「副読本」は、「復興」を強調し、放射線量の高止まりや住民が帰還できない事実を隠しています

 「副読本」では、「その後、セシウム134 やセシウム137 などの放射性物質を取り除く作業(除染)などにより、放射線量が下がってきた地域では、避難指示の解除が進められました。現在では、医療機関や商業施設などの日常生活を送るための環境整備や学校の再開等復興に向けた取組が着実に進められています。〈中高生版・小学生版P14〉」と記述されています。
  「除染」は建物や土壌などの表面の放射性物質をはぎ取り、フレコンバッグに入れて仮置き場に集積するという作業ですが、言い換えると高線量区域での被ばく労働によって、放射性物質を集めて移動する作業を意味します。「除染」は「移染」にすぎません。福島県の7割を占める森林の除染は不可能で、「除染」後も雨風で山から放射性物質が降り続け、放射線量が高止まりしているのが事実です。最近は除染ごみを減らすために、焼却、再利用までされようとしています。福島第一原発のある大熊町・双葉町の広大な土地が除染ごみの「中間」貯蔵施設になりました。国は、2017年3月で避難指示解除のための計画除染を終了し、避難指示解除を進めています。福島の避難指示基準は空間線量が年20mSv以上です。年20mSv以下になれば住宅支援も賠償も打ち切り、帰還を強いています。ところが、国の放射線管理区域(18歳以上の放射線作業従事者が、飲食禁止で働く場所)は避難指示基準より低い年5.2mSv以下と決められています。公衆の被ばく限度は年1mSvです。国は福島第一原発周辺地域だけ、放射線量年20mSv未満で子どもも妊婦も普通に暮らしなさいと避難指示を解除しているのです。避難指示が解除されても、放射線量は高止まり、高線量で近づけない溶融炉心を抱え、廃炉作業もままならない事故炉がそばにあります。事故から8年たった今も「原子力緊急事態宣言」が出されたままです。「副読本」は、「復興」を強調することによって、汚染と危険の続いている現実を隠しています。

■ 問題4 「副読本」は子どもが放射線から身を守るために重要な知識である内部被ばくの危険性を説明していません

 「副読本」には「1mSvの外部被ばくと1mSvの内部被ばくの影響の大きさは同等(中高生版P10)」と書いてあります。この表現では内部被ばく(鼻や口から放射性物質を取り込んでしまうこと)の危険性がわかりません。 現在、被曝の主な原因となっている放射性物質は半減期30年の セシウム137です。体内に取り込まれたセシウムは血液に乗って体中を駆け巡り、γ線と共にβ線を出し続けます。β線による内部被曝はγ線による外部被曝に比べてはるかに電離作用が強く、DNAを切断しガン等を引き起こします。甲状腺がんも事故直後に大量に放出された放射性ヨウ素が口や鼻から取り込まれ、甲状腺に吸収されて起こる内部被ばくが主な原因です。放射性ヨウ素も放射性セシウムも、自然界にはなく原発が生み出した人工放射能です。
  「放射線を学ぶ」ことは、子どもたちが将来にわたって、健康に安全な生活を送るために大切なことです。放射線の危険性を知って、放射線の被ばくをできるだけ避けるようにしなければなりません。
  しかし、「副読本」はもともと自然放射線があるのだから、事故で放出された人工放射線を浴びても大したことがないと思わせたり、放射線の性質のうち「透過性」の説明だけで、細胞・遺伝子を傷つける「電離作用」には触れず、放射線は簡単に防げると思わせます。「副読本」で学ぶことにより、放射線は気にする必要がないと無用の放射線を浴びることにもなりかねません。
  最優先にすべきは、被害者の声を伝え、福島原発事故の深刻さを伝えることです。そして、事故によってまき散らされた放射性物質から身を守るための方法を、子どもたちと共に考えるような放射線教育です。

■ 「副読本」から”福島原発事故の事実を放出放射線量の事実”さえ削除し、より危険なパンフレット「放射線のホント」を昨年度復興庁が作成し、全国の公的機関に配布しています。これにも注視し反対しましょう
 

2019年2月18日 (月)

2月23日教育研カフェ 象徴天皇制は教育でどう扱われているか

2月23日(土)に教育研カフェを行います

テーマは「象徴天皇制は教育でどう扱われているか」

問題提起①象徴天皇制と憲法

問題提起②教育の中での天皇制

日時 2月23日(土) 午後2時から

場所 社会福祉指導センター研修室1

(地下鉄谷町線「谷町6丁目下車)

参加費500円

案内チラシ

2019年1月 3日 (木)

大阪市議会が中学給食費就学援助の全額支給の陳情書を採択 12月6日

 秋の大阪市議会には2回にわたって「中学校給食費の就学援助費全額負担を求める陳情書」を出してきました。

 来年秋からの中学校全体の給食への移行に伴って、就学援助費で給食費全額を負担するよう求めてきました。

 9月の市議会での陳情は継続審議として事実上棚上げとなりました。

 12月23日、改めて下の陳情書を大阪市議会に提出しました。大阪市の中ではすでに就学援助費全額負担への動きがあったようで、市与党の維新の会を含めて12月の議会では私たちの提出した陳情書が採択されました。ご協力いただいた皆さんにお礼申し上げます。

大阪市会議長様

   中学校給食費就学援助の全額支給を求める陳情書

【陳情趣旨】

大阪市では、学校給食費について、小学校では給食費の全額が就学援助の対象となっているにも関わらず、中学校では支給率が2分の1となっています。

 吉村市長は10月市会で「同じ制度でありながら、小学校が全額であるにもかかわらず中学校で2分の1なのは、制度としては問題との認識に変わりはない。全ての中学校で学校調理方式へ移行する来年度2学期に全中学校で全員喫食となり、設備投資が完了となる。公平性の観点からも、財政的観点からも一つのタイミングである」と答えています。

 12月には予算編成が始まることから12月市会で来年度9月から中学校給食費就学援助を全額支給とすることを決める必要があります。

【陳情項目】

 来年度9月からの学校調理方式への完全移行に伴い中学校給食の就学援助費を全額支給にすること。その予算を来年度予算に計上すること。

2018年11月26日

 

2018年12月 2日 (日)

2018年10月26日大阪府教育庁私学課との「協議」報告

松井知事は森友小学校設置の「諮問」、「認可適当」答申の内容を知らなかった?!

 1026日、「子どもに『教育への権利』を!大阪教育研究会」は、711日提出した「森友『疑惑』での松井知事と大阪府教育庁私学課の「認可」責任を問う公開質問・要望書」に対する回答の問題点をめぐる教育庁私学課との「折衝(協議)」を持ちました。

 私学課からの出席は、K課長補佐とA総括主査の2名。こちらからは5名が参加しました。

 松井知事は、「諮問」、「認可適当」答申の中味を全く知らない?!

冒頭に、こちら側から回答に関する疑問、質問点を14点にわたって提出。中でも、松井知事の「虚偽」発言について、の私学課よりの回答、すなわち「知事の発言に虚偽はありません」との断定について、説明を求めました。

 松井知事の発言とは、20172月まで、知事自身が、森友学園の存在も、籠池理事長も知らなかったというものです。

 ご承知のように私学の設置許可権限は、20164月教育長に委任されるまで知事が所管していました。つまり、私学審が森友小学校を「許可適当」とした時、私学の認可権限は知事にありました。松井知事は、2014129日付「私第2826号」で、森友小学校の設置について諮問を行い、2015130日には、府知事宛で私学審より「認可適当」答申(大私審第15号)を受け取っています。私審議の審議内容、森友学園の提出資料などの報告を受けているはずです。それで森友学園も籠池理事長も知らなかったなどということはあり得ません。私たちはこの点を突きました。

 それに対する課長補佐の回答は以下の四点のようなものでした。第一に、「諮問」、「回答」の受け取りについては、府民文化部長(当時)に権限移譲されており、すべて文化部長止まりで、松井知事は一切その内容を知らない、とのこと。また、この件で知事にレクチャーもしていないこと。第二に、この回答は、私学課としての見解であること。知事は私たちの質問・要望書を見ていないこと。第三に、その当時、知事と私学課は打ち合わせを何度かしているが、森友問題での打ち合わせはなかったこと(実際、打ち合わせについて情報公開をしたが、森友関係の文書は「不存在」であった)、別の件での打ち合わせであったこと。第四に、課長補佐の個人的見解であるが、個別案件で知事にレクした経験もないし、しないのではないか、ということ。

 以上のように松井知事をまったく「かばう」、責任を免罪する回答に終始しました。第三に関連して、私学課と近畿財務局間の打ち合わせの問題について、財務局側からは幾つか資料が出ていますが、私学課側からは3点の資料しかないことも回答しました(実際情報公開でも3点しか出て来ない)。

 森友学園は、学習指導要領に基づき、教育課程を編成するものと「総合的に」判断した?!

 次に、「教育勅語」を森友学園は教育内容の中心においているのにこれを「認可適当」とした問題について、私学課側が、学園が「学習指導要領に基づき、教育課程を編成するものと認識」していた、という点が問題になりました。何より、私学課が「(A)「教育勅語」を形容する「皇室・神ながらの路に沿った」をどう解釈されましたか、あるいはどう解釈されますか。(B)「教育勅語」を神格化、絶対化する形容と言えますが、そうとらえられましたか。(C)また、こうした表現は、国民を主権者とする日本国憲法、またその下での教育基本法の精神に違反するものですが、そう考えられていますか。」という私たちの質問に回答していなかったからです。

 これについて課長補佐は、学園側が提出した文書を「総合的に」判断して、「学習指導要領」に基づいて行われるものと認識した、との回答に終始しました。学園の書いた「教育理念」の部分はどこをどう読んでも「学習指導要領」に基づいて教育課程を編成するなどとは読み取れない、その回答は私学課側の「教育勅語を唯一の価値観とするような指導をするのは不適切と考えて」いるとの回答とも矛盾するのではないか、と追及しましたが、同じ回答に終始しました。最後に、課長補佐は、ボソリと皆さんから色々お声をいただいて、私も「教育勅語」を読み直しました、もし今後このようなものが提出されたら「慎重に・・・」などと漏らしていましたが、いずれにせよ、松井知事をかばい、「教育勅語」をはっきり断罪することもできない姿勢は明らかになりました。

 今後ですが、私学課の責任、またとりわけ松井知事の責任を明らかにする取り組みを、さまざまな観点、やり方で進めていく必要を感じます。広く皆さんのお知恵を借りながら、粘り強く闘いを続けていくつもりです。諦めた方が負けなのは明らかですから。

10月6日に新学習指導要領問題で教育研Cafe

【教育研Cafe報告】(下に呼びかけチラシをいれておきます)

106教育研Cafe「新学習指導要領は学校をどのように変えようとしているのか?」報告

新学習指導要領の本質・特徴をめぐって活発な議論

 106日、「子どもに『教育への権利』を!大阪教育研究会」は上のようなCafeを開きました。予定した資料がすぐになくなるほど盛況で、新学習指導要領の本質・特徴をめぐり、また小学校で先行実施されている「道徳」教材とその運用をめぐり、活発な議論が交わされました。

グローバル人材と愛国心育成強化の新学習指導要領

 最初に教育研会員から「新学習指導要領と安倍教育改革批判」と題した問題提起がされました。新学習指導要領の背景として、90年代末からの帝国主義的グローバル資本の要請に応える政治体制の形成と共に、財界の人材育成要請を受けた政府の教育政策があること、安倍政権の教育政策がまさにそれであり、「教育改革」も教育の中味に踏み込む最終段階にあることが明らかにされました。新学習指導要領の特徴としては、①改悪教育基本法や学校教育法の改悪部分が本格的・全面的に適用されたものであること、②教育課程の作成と実施に関し、その目標・内容・方法・評価・経営の五つの主要な要素を一体化し、学校での教育活動全体を縛るものであること、③背後に財界の強い意を受けた政府主導のものであること、④高校段階での改訂方針を徹底し、入試改悪をテコに高大接続まで見通すものであることが強調されました。

 議論では、この新自由主義改革によるエリート育成と、その教育体制に「落ちこぼされる」子どもたちへの愛国心の刷り込み、強制が一体のものであること、また今回の要領はこれまでの要領とずばりどう違うと訴えればよいのか(子どもたち一人ひとりの「人格の完成」を目指す従来の教育とは、子どもに求める「資質・能力」を国が設定し、それを「できるようにさせる」という意味では180度の転換)という点、また現場の教員からは子どもたちが文字通り「テスト漬け」の日々を送らされていることが報告されました。

 テストが教育内容を変えるという現実から、後半は「実用国語中心の『現代の国語』」のテーマで報告されました。そこでは大阪府の中学3年生が受検している「チャレンジテスト」の問題と、「大学入学共通テスト」(20年度からセンター試験に変わり実施予定)試行テストの問題を介して、生徒会での議論や生徒会規約が持ち出され「図表や資料」を読み解きながら、知らず知らずに既存の秩序維持に向かうように誘導されることが紹介され、実はこれが新学習指導要領での「国語」科目の先取りであることが明らかになりました。国語教育は、「文学作品の深い読み」等を行い、自らの感情や主張を表現し、批判精神を高めるはずのものから、批判精神を欠落させた「実用国語」中心の「国語」に変わろうとしているのです。

子どもたちの心を誘導する、小学校で先行実施の「道徳」教材

 後半二つ目に「現代版『修身』=小中の道徳教科化」と題して、現在小学校で使われている教材「手品師」を使って、子どもたちの心をいかに教材と教員が誘導するか、という報告がおこなわれました。教材の冒頭には「手品師」であれば、「誠実に明るい心で」との目標が示され、「学びの手引き」には、「手品師のすばらしいところはどこか」とか、「誠実に生きる」とはどのようなことか、とか子どもたちにいかなる答を要求するか、あけすけな設定がしてある。また、すべての「道徳」教材がそうであり、子どもたちの様子がどうであれ、一年間教材をこなすスケジュールも決まっていると報告されました。

 討論では実際子どもたちの受け取りはどうなのか、またこの教材は「社会性」というものを全くオミットしているといった意見があったが、深刻なのは、先生の使いやすい教科書を、との名目で、子どもたちに自己評価を強いる問題の多い「道徳」教科書が、教育委員会によって採用される例があるとの参加者からの指摘でした。

 多くの参加者からの重要な発言、指摘が相次ぐ集会でした。今後も、新学習指導要領や「道徳」教育の問題点を教職員、市民に広く知らせるべく、研究・学習・討論を継続して行うことを約束しあい、集会を終えました。

【Cafeチラシをどうぞ】

「1006kyouikuCafe.pdf.pdf」をダウンロード

大阪市議会に就学援助基準の改善を求める陳情書と中学校給食費就学援助の全額支給を求める陳情書を提出しました(2018年9月7日)

9月7日に大阪市議会に対して①就学援助基準の改善を求める陳情書と②中学校給食費就学援助全額負担を求める陳情書を提出しました。

大阪市会議長様

①就学援助基準の改善を求める陳情書

【陳情趣旨】

 2013年度からの3段階での生活保護基準の引き下げに際し、就学援助が受けられない子どもが出ないようにとの文科省通知に従い、多くの市町村では就学援助基準が維持されました。大阪市は2015年度から生活保護基準の引き下げをそのまま就学援助基準の引き下げに反映したことにより、就学援助を受けられなくなった児童・生徒が2年間で約5000人も出ました。これら就学援助を受けられなくなった児童・生徒に対し、大阪市はなんの対応も「結果的にできなかった」としています。

 今年10月の生活保護基準の引き下げにさいしても、国は就学援助支給に対し「できる限りその影響が及ばないよう対応する」ことを閣議決定し、市町村に求めています。大阪市がそのまま就学援助基準を引き下げることになれば、更に多くの子どもたちが就学援助を受けられなくなるのは必至です。「できる限り影響が及ばない」ようにするため、大阪市は準要保護者の所得基準を現在の要保護者の基準の1.0倍から引き上げるなどの措置をとるべきです。

 文科省の昭和49年度全国市町村教育委員会財務事務担当者会実施要項」では、準要保護者の基準を要保護者の「1.3倍とするのが適当である」とし、さらに病気療養者がいたり、民間の借家など特別の理由があったりする世帯の場合、「1.5倍として基準を定めることが必要である」としています。大阪市は現在1.0倍としていますが、その根拠はどこにも示されていません。速やかに基準を引き上げ就学援助が受けられなくなる児童生徒が出ないようにすることが必要です。

【陳情項目】

(1)就学援助基準に関する要求

①今年度生活保護基準改定に伴う就学援助基準の引き下げをしないこと。

②生活保護基準に対する就学援助の所得基準比を現在の1.0倍から全国標準の1.3倍に引き上げること。

201897

 

②中学校給食費就学援助の全額支給を求める陳情書

【陳情趣旨】

 大阪市は中学校給食費の就学援助支給率を2分の1としています吉村市長は、現在の半額支給を全額支給にせよとの求めに対し「学校調理方式へ移行する平成31年度2学期は全員喫食になるタイミングであり、課題解決に向け、整理を図る」と市議会で前向きに答弁していました。この機を逃さずに来年度から中学校給食の就学援助全額支給すべきで

【陳情項目】

 来年度9月からの学校調理方式への完全移行に伴い中学校給食の就学援助費を全額支給にすること。その予算を来年度予算に計上すること。

201897

 

2018年8月23日 府教委私学課から質問状に回答

「moritomokaitou823.pdf.pdf」をダウンロード

2018年6月27日 (水)

森友「疑惑」 松井知事・私学課の「認可」責任を問う6・9討論集会報告

 森友「疑惑」について、大阪府の松井知事と私学課が瑞穂の国小学院(森友小学校)を認可しようとしたことの問題点を明らかにし、責任を問う集会を6月9日に開催しました。約40名の方が参加され活発な意見交換が行われました。
 集会は初めに大阪府がようやく開示した「設置許可申請」に書かれた「瑞穂の国小学院」の教育理念、教育内容の批判から始まりました。この小学校の設置理念が「皇室・神ながらの道に沿った教育勅語」「5箇条のご誓文」や貴族制度の下での「ノブレス・オブリージュ」を柱におき日本国憲法や教育基本法に真っ向から反するものであること。教科や教育内容においても右派の主張に見られる極めて特異なもの(例えば家族観)であること。異様に授業時間数が多いばかりか、総合的な学習時間には「国史」「修身」「礼法」「国家論の醸成」等が入っていること。総じてこのようなものを大阪府私学課(当時松井知事の指揮下にあった)が「認可相当」としたことそのものが大きな問題でした。続いて、開示された私学審議会での議論について報告が行われました。焦点は、私学審議会の委員会は何度も教育理念、経営状態、募集状況等々について疑念が出されたにも関わらず、事務局である私学課が強引ともいえるやり方で認可の方向にもっていこうとしたことです。2015年に「認可相当」と答申を松井知事に提出したあと、森友小学校が問題となり、籠池氏が申請を取り下げる直前まで私学課は認可の方向にもっていこうとしています。驚くべきことです。しかも、小学校の校舎は所有地になければならないという設置要件さえ満たしていないのに、強引に申請を受け付け、私学審議会にかけているのです。財務省が公開した900ページにわたる資料では近畿財務局が極めて前のめりの姿勢で突き進んでおり,
2013年9月から2015年1月までの間に8回の面談、15回の電話での相談が行われている。私学課と私学審議会に対して執拗に早く認可するよう(つまり籠池氏に早く土地が売れるように)働き掛けていることです。さらに、何人もの政治家が間に入って働きかけていることも浮かんできました。
 報告に対して会場からは、「私学審は本当に教育勅語を理念とすることや教育内容について審議したのか」や「土地所有でないとダメを通した、豊中市が公園に、大阪音大が校地に買おうとしても値下げしなかったのが、安倍夫人が絡むとなぜすすむのか」「大阪府は籠池が取り下げたから大阪府は関係ないというが、認可相当まで強引に進めた責任があるはずだ」「国会の証人喚問で籠池氏は一番腹を立てているのは松井氏に対してといっている」「会計検査院がどうしてもっと追及しない?民間では資料がありませんなど通用しない」等の意見がだされました。
 集会は、まだまだ資料が隠されている、経緯も徹底的員追及していきたい。この集会で議論になったことに基づいて、大阪府と私学課に公開質問状と資料の公開要求を行っていくことを確認しました。また、安倍政権のもとで森友問題は闇の中に葬り去られようとしている。これでいいのか。道徳教科化を進める安倍の一番やりたかった学校、教育勅語を教える学校が森友小学校。安倍首相、財務省や大阪府がこんな学校を作ろうとしたことを許せるのか。真実を明らかにして、徹底的に批判していこうとと確認しました。

 *現在、公開質問状の作成作業を進めています。7月10日ごろには大阪府に提出する予定です。

2018年5月 4日 (金)

おわりに

皆さん。もし国有地不正売却、報告書の改ざん等いわゆる「森友問題」が表面化したことで、結果として豊中市に設置することがかなわなかった「瑞穂の國記念小学院」とはどのような学校であったのか、あろうとしていたかの一端はお分かりいただけたでしょうか。

 それは一口でいうなら戦前・戦中の学校と同じように、日本の国=神の国=天皇が支配する国という国家観を持ち、その国家に従順で徹底的に奉仕する、時には命も投げ出すといった考えを持つ子どもたちを作り上げようとする学校だったのです。

 このような学校を安部首相夫妻、松井大阪府知事、そして日本会議に集う人々が一体となって作りあげようとしていたことは恐ろしいことです。

 しかし、さらに恐ろしいことは、森友学園の小学校のような学校が、もはや特異な学校ではない状況に、日本の教育・教育現場がなりつつあることです。改悪教育基本法は、その目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という目標を加えられました。これを基に新しい学習指導要領が作られ、小学校では「道徳」が教科化され授業が始まっています。「日の丸・君が代」は当たり前のように教育現場に入り込み、大阪府では大阪府「国旗・国歌」条例とそのもとでの職務命令により「君が代」斉唱が強制されています。右派教科書が採択され使用が強制されています。教職員の管理・統制が「評価・育成システム」や「新たな職制」の設置で給与に差をつけることで進んでいます。

 私たちは、今安部政権、松井・橋本ら維新政治の下で教育・教育現場がどうなっているのか、どうなっていくのかに最大限の注意を払う必要があります。「森友学園」批判はその大きな課題の一つです。

 

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